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折りたたみ式のカメラは古今東西,様々な形式のものが出現した.もっとも代表的なものはツアイスイコンのイコンタシリーズやフォクトレンダーのベッサシリーズなどのスプリングカメラが挙げられる.他にもいわゆるプレスカメラと言われるような,レンズボードをレールに沿って引き出すものや,新旧プラウベルマキナのようなクラップ形式のものがある.しかしそれらのカメラでは,ボディとレンズとの位置関係が変化するためにその間の連動機構が省略されているものが多い. 操作性を向上させるための連動機構のうち,主要なものは3種類であることはレチナのページでも紹介した.すなわち,レンズ付近でなくボディ側に備わるシャッターボタン,レンズの繰り出しに連動した距離計,そしてセルフコッキングである.しかし意外にこの3点を全て備えた折り畳みカメラは少ない.特に中判カメラに関して言えば,近代になって登場し,「復活」とか「懐かしの」などの枕詞を添えられたようなカメラは別として,堂々と現役を張った時代のものとしてはこのマミヤシックス・オートマットしかないと言っても過言ではない.
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ここで簡単にそれぞれのカメラの仕様を比較してみた.
使用するフィルムが異なるレチナが軽く小さいのは当然としても,意外と近代のカメラは重いのだということが分かる.近代のカメラはどれも性能の良い露出計を持つこと,ファインダに採光式ブライトフレームを備えること,マキナについては画面サイズの割りに非常に明るいレンズを搭載していることもあり,ある程度重いことは仕方がない部分もあるが,こうして比較してみると,やはりマミヤシックスの画面サイズに対する軽さと薄さが際だつようである.特にこれらのカメラのうち3種はいわゆるレンズキャップに相当する「蓋」を内蔵しているためキャップの取り忘れという重大な失敗を犯す心配が無く,収納にも便利というのは意外に大きいポイントである. こうしてボディとレンズが完全に連動するカメラを揃えて改めて観察してみると,それぞれにたいへん凝ったメカニズムが採用されていることも興味を引く.レチナは小型ながら連動機構は大変上手にまとめられており,特にセルフコッキング機構に関しては割りを入れた丸棒の上をピニオンギアがスライドするという,いかにもドイツらしい機械工作のうまさを見せてくれるシステムとなっている.それに比べGS645は,蓋部分の内側に細かいプラスティック部品やプレス加工された薄板が多数装着されており,必要以上に複雑であるだけでなく,やや信頼性を欠いたメカであるように感じられる.実際,不具合は少なくないようで,特にシャッターレリーズについてはボタンの押し下げ力を直接シャッターへ伝達するのではなく,シャッターボタンの押し下げにより固定解除された部品がバネがの力により走行することでシャッターを蹴るようになっている点がまずいようだ.またそのためにタイム露出のみレンズ側のボタンで行うようになっている点や,シャッターをチャージしないと折りたためないなどの制約を持つ点,他にはレンズの固定機構がまずく確実に操作しないとレンズの固定が不十分となりがちである点などでスマートとは言い難く,穴があきやすい合成皮革の蛇腹を含め全体的に品質の低さを感じさせる.レンズが良いだけに惜しいカメラである. マキナ67は,オリジナルのマキナの設計を踏襲するという難しい課題を与えられながらうまくまとめられており,レンズを格納するためのX字型のたすきをそのまま用いてレンズを前後させる点が独特である.コッキングとレリーズについては, リンケージ内を通された1本のワイヤの巻き上げと弛緩により行っており,その意味では GS645 と同様であるが,ワイヤにかけられたバネが強力であるためシャッターの動作に不安はない.シャッターを押した時点で途中まで弛緩し,さらにシャッターを離した時点で残りを弛緩する方法を採ることで,ボディ側のシャッターボタンでバルブ露出が出来るようになっている点も面白い. そして最後にマミヤシックスであるが,これは有名なバックフォーカシングシステムを採用することで難しい連動の問題を見事にかわしている. ![]()
バックフォーカスを採用していないカメラではどうか.レチナや GS645,マキナ67等はもちろん前玉回転式ではなくレンズ全群を前後させているために,同時にシャッターユニットそのものも前後に動かさねばならない.そのためその前後移動量を吸収するための構造が,セルフコッキングとレリーズのメカニズムの両方に必要とされるのだ.具体的には,幅を持たせたギアを搭載し,ギアの歯のかみ合い位置が軸方向に移動するメカニズムを搭載していたり(レチナ),ワイヤーを使ったり(マキナ67),光軸方向に長さを持たせたピンで連結部分を蹴るようにしたり(GS645, レチナ),という苦労を背負い込んでいる.また同時に,距離計の連動機構(レンズの前後移動量をボディへ機械的に伝達する機構)を折り畳み時に待避するという難題も抱えることになる.特にこの部分はバックラッシュ(がたつき)が許されない部分であるため,設計には工夫が必要であろう.マキナ67と,マミヤ6がともにボディ側に距離調整ノブを持つというのは単なる偶然ではないように思われる.折り畳みカメラでは,レンズとボディとががっちり固定されているわけではないので,レンズ側のヘリコイドを捻るような操作が不要であるというのも精神衛生上良い. この「レンズとボディとの位置関係が変化しない」ということは別のメリットも生み出している.それは,カメラを畳むときに距離を無限遠に戻さなくても良いという点だ.レチナや GS645 は折り畳む前に距離を無限遠に合わせなければならないが,マミヤ6ではこの点を考慮する必要はない.なおマキナ67はいつでも畳むことが出来るが,マミヤ6との微妙な違いを挙げるなら,畳んだ状態でも距離計が動くのはマミヤ6だけだということになる. ただしこのようなマミヤにも欠点はあり,畳んだ状態で巻き上げノブによりフィルムを巻き上げても,シャッターがチャージされないということは知っておく必要がある.この場合はカメラを展開してからシャッターを手動でチャージすれば良い. 個人的には,これほど状態の良いマミヤシックスには触れたことがなかったため,マミヤシックスの品質が非常に高いことに驚かされているというのが正直な感想である.特に上下のプレス部品のエッジの効いた面取り仕上げやメッキの質感,切削加工された各金属部品の輝きや塗りの滑らかさなど,同時期のニコン等(S2型の時期)にも比肩しうる内容だと思う.シリアルナンバーからは,装着されたズイコーレンズもかなり後期のものであるらしく,曇りも一切見られないのはうれしい点だ.最終型の「オートマット2」とは異なり,ファインダにブライトフレームは備わらないものの,ボディに厚みがあるからかこの種のファインダとしては視野の境界は比較的はっきりしており,見た目も明るいというのも良い. 特注の革ケースマミヤ6オートマットを使用する上で現代のカメラとの違いを感じる部分の1つに,ストラップラグがボディ本体にないことが挙げられる.本来は革ケースに入れたまま使うことが想定されており,従ってカメラ単体ではストラップで吊ることが出来ない.当時はそのような使い方が主流であったとはいえ,現代までこのように状態の良いカメラが残っているのもまた革ケースあってのことである.しかしたいてい革ケースは傷んだり革が硬くなっていたりして,ちぎれそうになっているものもある.私の場合ケース無しで購入したのだが,おそらくずっと一緒にあったはずのケースは状態が悪く処分されたのだろう.
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マミヤ6用 オートアップ(接写装置)![]()
マミヤ6オートマット 当時の広告![]() マミヤシックス・オートマットの広告(クリックで拡大). (アサヒカメラ 1956年11月号 表2より) セルフコッキングが世界唯一であると述べている. オートアップについての記述もある. 同誌広告によると,主要なカメラの価格は以下の通り.
その他の外観写真![]()
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